
これまでの降圧治療で、高血圧治療ガイドライン2019の降圧目標である130/80mmHgを達成した患者さんの割合は年齢を問わず、わずか21.3%であったと報告されています¹⁾.

このようにいまだ血圧コントロールが不十分な患者が多くいる中で、「エンレスト®︎」が新しいクラスであるARNIとして日本で初めて高血圧症に対する承認を取得しました.

今回は新たな高血圧治療として期待の高まる「エンレスト®︎」をご紹介いたします.


ARNIとは、ネプリライシン(NEP)阻害薬と、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を阻害するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の複合体のことです.
エンレスト®︎は、 ネプリライシン阻害薬のプロドラッグであるサクビトリルと、 ARBのバルサルタンを1:1で結合含有させた日本初承認のANRIなのです.
サクビトリルによりNEPの作用が抑えられ、ナトリウム利尿ペプチドの作用亢進が増大することで、 血管拡張、 利尿、 尿中ナトリウム排泄、 交感神経系抑制、 心肥大抑制及び線維化抑制などの多面的な作用を示します.
バルサルタンによりRAASが阻害され、血管収縮、 体液貯留、 交感神経活性が抑制されることで、 降圧効果を示します.
NEPとRAASの同時阻害では、 NEP阻害に伴うRAAS活性化がもう一方のRAAS阻害作用により抑制されるため、 NEP阻害によるベネフィットを引き出すことができると期待されています⁵⁾.

エンレスト®︎の臨床成績として、日本人の軽症または中等症の本態性高血圧症患者さんを対象とした国内第Ⅲ相試験であるA1306試験をご紹介します.



エンレスト®︎を1日1回200mg投与した時、 ARBであるオルメサルタンに対して有意な降圧効果を示しました.

最終評価時(8週時)のABPMによる24時間平均収縮期血圧(maSBP)変化量 [副次評価項目] (FAS)
最終評価時のmaSBPのベースラインからの変化量は、 エンレスト200mg群で-13.44 mmHg、 400mg群で-14.99 mmHgであり、 オルメサルタン20mg群の-8.78mmHgと比較し、 いずれも有意に低下しました (p<0.001、反復測定ANCOVA、 共変量:ベースライン値、 要因:投与群、投与後時間および投与群と投与後時間との交互作用).
24時間自由行動下血圧測定*による収縮期血圧のベースラインからの変化量は、 エンレストの投与によりオルメサルタンに比べ有意に低下し、 下図のような推移を示しました.

また、 A1306試験において、 副作用の発現割合は、 エンレスト200mg群4.7%、 エンレスト400mg群4.4%、 オルメサルタン20mg群4.4%でした.

エンレストの高血圧症における開始用量は、1日1回200㎎です (年齢・症状により適宜増減).
前治療としてACE阻害薬を使用している場合には、 少なくともエンレスト投与開始36時間前に中止すること.

1日1回100mgからの開始、または開始の考慮が必要な患者さんは以下のとおりです.
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「過度な血圧低下のおそれ等があり、原則として本剤を高血圧治療の第一選択薬としないこと。」とされているので、 投与開始に当たっては、 本製剤の投与が必要と判断した理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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